基調講演 “ワクワク禁煙−人生が変わる!?” 〜禁煙のメリットとその困難克服の極意〜
高橋裕子先生 内科医、奈良女子大学大学院教授、京都大学禁煙外来。 1994年に奈良で禁煙外来を開設。1997年、「禁煙マラソン」主宰。以来、大勢の禁煙を手助けしてきた“禁煙の女神さま”。
追加発言 1「女性のからだと喫煙」 宗 陽子先生 長崎県福祉保健部医療政策課
2「タバコと子どもの健康」 坂本 綾子先生 長崎大学病院・小児科
日 時 2016年2月27日(土)14:00〜16:00 会 場 長崎県医師会館 長崎市茂里町3-27 ?095-844-0111
主催:ながさき女性医師の会 後援:長崎県、長崎市、長崎県医師会、長崎市医師会、長崎県産婦人科医会、長崎新聞社 NHK長崎放送局、NBC長崎放送、KTNテレビ長崎、NCC長崎文化放送、NIB長崎国際テレビ エフエム長崎
現在、日本では喫煙者の数が年々減少していますが、大幅に減っているのは男性だけで、女性の喫煙者数は横ばい状態が続いています。 実は、タバコは女性の身体に様々な影響を及ぼします。喫煙による健康被害は周知の、ことですが、特に女性こそ禁煙したほうがいい10の理由があります。 【見た目】 @スモーカーズ・フェイス A歯や口臭 【生理・妊娠】B生理不順や月経困難症 C妊娠中のドラブルのリスク上昇 【育児】D母乳の出が悪い E赤ちゃんのニコチン中毒 F乳児突然死症候群 G誤飲の危険性 【その他】Hがんの増加 I骨粗鬆症
また、「タバコをやめたいと思うか?」の問いに対し、調査に参加した女性スモーカーの半数以上の63.1%が「思う」と答えています。 1日あたりの喫煙本数が少ないほど「思う」と答えた割合が高いそうです。(「ライトユーザー」では70.9%) 写真右:スモーカーズフェイス(双子で左は喫煙者-右が非喫煙者)⇒
■各講演の要旨■
基調講演 「ワクワク禁煙−人生が変わる!?”〜禁煙のメリットとその困難克服の極意〜」
講師:高橋裕子先生(内科医、奈良女子大学大学院教授、京都大学禁煙外来) 講師プロフィール 内科医・奈良女子大学教授・京都大学禁煙外来担当医。 1978年京都大学医学部卒業、1985年京都大学大学院修了。 天理よろづ相談所病院などを経て、1994年奈良県の大和高田市立病院で内科部長に就任後、 禁煙外来を開設。1997年よりメールマガジンやメーリングリストを利用した禁煙プログラム「禁煙マラソン」を主宰。 2002年 奈良女子大学保健管理センター教授。2003年〜奈良女子大学大学院教授就任。 日本きもの学会の会長も務める。禁煙支援サイトを主宰し、大勢の禁煙を手助けしてきた「禁煙の女神さま」。 未成年の禁煙にも取り組んでいる。
〇禁煙治療の専門家と非専門家の違いは?… 禁煙指導は、医師を含む専門的知識や支援方法を熟知する専門家によるほうが成功する。 〇禁煙補助薬の選択は?…さまざまな方法(内服、パッチなど)があり、特定のものに固執せず、個々にあったものを選択する必要がある。 〇禁煙治療のメインは?・・・節煙ではダメ。断煙を勧め、再喫煙防止のための援助の二点が重要。その極意は、@喫煙の“有害”を訴える方法と、A“禁煙のよろこび”を伝えること 〇日本における喫煙者数は、1964年に男性の85%が喫煙していた。その後1980年代から女性の喫煙者が増えた。「タバコは動くアクセサリー」とタバコ業界が女性をターゲットに宣伝するなどの影響。 〇喫煙はニコチン依存症であるという認識で、治療をしなくてはいけない−ただし、禁煙したい人を支援する気持ちが治療に関わる人には必要。 〇年齢による禁煙の難しさ・・・高齢者は健康への不安が強いので、禁煙を考えるが、長年の依存症のために、特に中高年以降の女性では難しい。また、若い人には「やめようと思えば、すぐに辞められる」という気持ちもあってか、禁煙にチャレンジする気持ちにならない。 〇受動喫煙の害も、最近は注目されている。・・・蛍族のように屋外で吸っても、40分以上経ってからでないと、喫煙者から家族への受動喫煙のリスクはゼロにならない。 〇最近、PM2.5が問題視されて、中国からの流れてくる公害のように取り上げられているが、それよりも、国内の受動喫煙が最大のPM2.5問題である。(例;禁煙でない日本の飲食店内では、北京の大気と同じレベルの500〜700μg/?) 〇禁煙方法は進化しており、それぞれにあった治療法を選択すればいい。 〇女性やこどもは、時間喫煙(限られた時間にだけ喫煙する)するので、かえって、依存性が高く、禁煙治療も難しくなるが、早いうちから取り組むほうがいい。 〇10代の喫煙にも積極的に取り組む必要がある。
*高橋先生には、会場から様々な質問があった。喫煙者個々への禁煙治療の問題だけでなく、喫煙しにくい環境をつくることで、地域の健康を守るべきではという意見も出た。
追加発言1 「女性のからだと喫煙」
講師:宗 陽子先生(長崎県福祉保健部医療政策課) プロフィール 現在、長崎県庁勤務の公衆衛生医師。 1996年長崎大学医学部卒業後、産婦人科臨床に従事。 10年後に保健所勤務となり、 この約10年間保健所や県庁で、行政医師として 健康増進、タバコ対策等に関わっている。
〇長崎県内における健康の指標と喫煙者の状況を紹介。 〇残念ながら、長崎県内では男性の喫煙が減っているのに対して、女性の喫煙は横ばいから増加している。(女性全体で7.6%に対し、20〜40代では12%) 〇受動喫煙に関連する死者数6,800人は交通事故死の1.5倍にあたる。 〇女性の喫煙は、女性自身の健康の問題だけでなく、妊娠期や授乳期においても影響を及ぼす。
〇タバコの煙はPM2.5!…長崎県も受動喫煙による健康被害を減らすために、警告を出している。
〇FCTC(たばこの規制に関する世界保健機構枠組条約; WHO-Framework Convention on Tobacco Control)に日本政府も署名し、すでに発効しているが、まだ十分に機能していない。 (条約の内容の主な内容は、 @受動喫煙の防止 Aたばこ製品の包装・ラベルで表示面の30%以上を健康警告表示に充てる Bたばこの広告・販売促進およびスポンサーシップの禁止・制限 Cタバコ製品の不法取引をなくすための措置 D未成年へのたばこ販売禁止のための効果的措置など)
追加発言2 「タバコと子どもの健康」
講師:佐藤 綾子先生(長崎大学病院小児科) プロフィール 1997年 長崎大学医学部卒業。長崎大学小児科学に入局し、 2年間の小児科研修の後、長崎県、佐賀県内の病院勤務。 2006年4月から現職。長崎大学病院小児科医師。専門は小児アレルギー。
〇妊婦の喫煙による影響…胎児の奇形のリスクはもちろん、胎児の子宮内成長不全や早産のリスクも。 〇乳児突然死症候群の原因のひとつに、家族の喫煙がある…乳児の覚醒反応が低下して呼吸停止する。
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