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  子宮頸がんは若い人に多いがんです
 
      

1.子宮頸がんは若い人に多いがんです

この 図は2003年の長崎県の女性のがん罹患数を臓器別に見たものですが、胃がんに比べて子宮がんは明らかに若年女性に多く、特に20代、30代の女性において多くなっています。

 

 

 

 


この図は、全国の年齢別の子宮頸癌罹患率を、年度別にみたものです。
これを見ますと、1975年には60代以降の高齢者に多かったのですが、近年20代、30代の患者が増え、40代以降の罹患率はほぼ横ばいになっています。
その原因としては、初交年齢の若年化が挙げられています。

 

 

 


この図は、長崎県における子宮頸がんの年齢別患者数を示しています。
まず、20代から30代にピークがあり、その後、70代からまた増えます。
この図からもわかるように子宮頸がんは若い人に多いがんです。

 

 

 

 

 

2. 子宮頸がんはパピローマウイルスというウイルスの感染で起こります。


ヒトパピローマウイルスとは、この写真に示すような64面体のボールのような形をしています。パピローマウイルスは皮膚などの良性のイボの原因になるものと子宮頸がんの原因になるものがあります。

 

 

 

 

 


子宮頸がんのほとんどの患者さんにパピローマウイルスが認められる事から、パピローマウイルス感染が子宮頸がんの原因なのではないかと考えられています。パピローマウイルスは、性行為によって感染します。性交経験のない女性での感染はほとんどありません。
しかし、パピローマウイルスに感染した人全てが子宮頸がんになるのではなく、ほんの一部の人しか癌にならない事もわかっています。

パピローマウイルスに感染していても、子宮頸がん検診で正常であれば心配いりません。したがって子宮がん検診は非常に重要です。

 

3.子宮頸がんは発見が早いと完全に治ります  

治療について

子宮頸がんはがんの広がりによって、0期、T期、U期、V期、W期に分類されます。
0期は検査しないとわからない初期の癌です。
T期は癌が子宮頸部にとどまるもの、U期、V期は癌が子宮頸部をこえて広がるもの、W期は膀胱や直腸など近くの臓器に浸潤するもの、もしくは遠くの臓器に転移しているものです。




がんを治療して5年後に生存している率を5年生存率といいますが、0期の場合の5年生存率はほぼ100%です。
T期は81.9%、U期は61.8%、V期は38.1%、W期は12.8%となっています。
癌が進行するにつれて5年生存率は低下します。

 

 

 


子宮頸がんの具体的な治療法ですが、初期の場合、今後妊娠の希望があれば円錐切除術を行います。
0期であればレーザーを当てて腫瘍を治療する光線力学療法も行うことができます。
この治療は、子宮頸部を切除しないので、術後の妊娠分娩に支障がなく、有用性が注目されています。妊娠の希望がなければ単純子宮全摘出術を行います。円錐切除術、単純子宮全摘術は術後の合併症もほとんどなく、治療後の生活に影響はありません。
進行している場合は、広汎子宮全摘術を行います。子宮を広範囲に切除し、骨盤内のリンパ節をとるため、手術後、排尿障害や足が腫れるリンパ浮腫などが起こる事があります。
進行がんのなかでもV期以降は、放射線で治療します。放射線療法の合併症として腸炎や膀胱炎などがあります。

進行がんの治療は一般的に大きな手術が必要で合併症もあります。がん検診で初期に発見できれば、小さな手術で済み合併症もほとんどありません。子宮を温存することも可能です。
子宮頸がんは検診を受診し、初期に発見できれば完全に治ります。


4. 子宮頸がん検診について

通常,出血などの症状があれば,婦人科を受診する必要がありますが,グラフでも分かるように,早期の子宮頸がんでは半数以上の方が無症状であると言われています。
早期で見つける為には,症状が出る前に定期的に検診を受けることが大切です.



子宮頸がんの検診はどのように行われているのでしょう.

まず,出血などの症状がないか,問診を行います。
次に,子宮の頸部をへら・綿棒でこすって細胞をとり,ガラスの板に塗り標本を作ります.
その後,顕微鏡で異常な細胞が無いか検査します.

内診では,子宮・卵巣が腫れていないかを検査します.
この検診では,痛みはありません.


子宮がん検診は,集団検診や職場検診の他に,近くの産婦人科でも気軽に受けることができます.

 

 

子宮頸がんを早期に見つけるには,定期的に検診を受けることが大切です.
最近,若い方の子宮頸がんが増えています.子宮がん検診をうけましょう.

          文責: 長崎大学医学部付属病院 産婦人科医師  谷川輝美

 



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