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   文責:長崎大学医学部・歯学部附属病院 第1外科(腫瘍外科)乳腺グループ 松本 恵

最近の乳がんに関する考え方の変化

乳がんはこれまで出来るだけ大きく切除すれば全身へのがんの進展をくい止めることができると考えられていました。
しかし大きく切除しても小さく切除しても術後の成績にほとんど差が無い事が分かってきました。
このためあるものは比較的早い段階で全身へ拡がっている可能性のある"全身病"であるという考え方が起こってきました。
ですから、ごく微細ながん細胞が全身へ転移している可能性がある場合には、その程度を予測しながら、局所的な治療(手術±放射線照射)と全身的な治療(薬物療法)を加えて、乳がんを根絶させようという考え方が一般的になっています。

万が一乳がんが見つかったら・・・その後の治療法

乳がんの治療法に関しては3つの大きな柱があります。



がんの広がりや進行度によって、これら3つの治療法を組み合わせ、大まかには図のような流れで治療を進めていきます。



― 手術療法 (局所療法)−

乳房切除術(主に胸筋温存乳房切除術)
       or                    +   腋の下のリンパ節郭清(かくせい)
乳房温存術

T.乳房切除術

現在、わが国における乳がん手術の最も標準的な方法の一つは胸筋温存乳房切除術です。
がんとともに乳房全部(皮膚の一部、乳頭を含む)を切除します。胸筋は残して必要に応じて腋の下のリンパ節の切除を行う方法です。

 

 

 

 

U.乳房温存術

がんの大きさに合わせてがんとその周囲、腋の下のリンパ節を切除する方法です。皮膚の切除は最小限で基本的には乳頭、乳輪を残します。手術後は残した乳房内に残る微小がんを破壊するために、放射線を照射します。

 

 

 

 <乳房温存療法の適応>
   ● しこりの大きさ<3.0cm
   ● いろいろな検査でがんが周囲に広く広がっていない
   ● がんが多発していない
   ● 放射線療法が受けられる
   ● 本人が温存療法を希望している
    (但し適応条件は、病院によって多少異なります。)


これまでは、胸筋温存乳房切除術が多かったのですが、近年乳房温存術がもっとも多い手術方法となりました。また最近の傾向では、腋の下のリンパ節郭清についても、センチネル(見張り)リンパ節生検を行うことによって省略されたりもしています。
※センチネル(見張り)リンパ節生検とは
乳房からのリンパの流れを最初に受け止めるリンパ節(センチネルリンパ節)だけを摘出し、顕微鏡検査でがん細胞があるかどうかを調べ、がん細胞がなければ他のリンパ節への転移はないと考え、リンパ節の郭清を省略する方法です。それによって不必要なリンパ節郭清を行わなくてすみます。

 

― 放射線療法 (局所療法)−

がん細胞に外から高エネルギーのX線をあてて、増殖を抑えたり死滅させたりします。局所治療なので、全身への影響は少ないのですが、一度照射した部位には再度(一定量以上)照射することはできません。

放射線療法は様々な目的で使用されます。
 ●乳房温存手術後の照射
 ●局所進行乳がんに対する照射(術前照射含む)
 ●遠隔転移巣(骨、脳など)への照射      など


― 薬物療法 (全身療法)−

切除した乳がん組織の病理検査の結果や年齢から術後に再発するリスクを評価し、抗がん剤による化学療法とホルモン剤によるホルモン療法のいずれか、または両方を行います。更に最近は分子標的療法を併用する場合も増えています。

化学療法

化学療法とは、がん細胞を攻撃し、体内のがん細胞をころしたり、がん細胞の分裂・増殖を防ぐはたらきを持つ「抗がん剤」による全身治療をいいます。
乳がんの治療では、一般的に抗がん剤の作用をより強力にするために、何種類かの抗がん剤を組み合わせて投与する「多剤併用療法」が行われます。
ホルモンに依存しない乳がん(ホルモンレセプター陰性)の場合や、病理結果で再発・転移のリスクが高いと判断された場合に行われ、その結果、再発・転移の確率が低くなります。

*術前化学療法*
手術前にがんを縮小して乳房温存術を可能にしたり、目に見えない小さな転移を早期に根絶させることを目的としています。術前の化学療法では、抗がん剤の有効性ががんの縮小という形で目に見えるため、手術後や再発・転移時により適切な薬剤の選択が可能になる効果もあります。

   ●薬物療法 (全身療法)に続く>>>クリック

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